雑貨屋店主の「かわいい、かわいい」at ロブジェキペピ
 

BEVAuOsCEAAC5fD.jpg


思わずロブジェキペピに連絡しました。
「お値段、あっていますか?」と。

正真正銘、デンマークのヴィンテージ・シルバー。
正真正銘、2,000円也。

お客様からの持ち込みも多いので、
常識を覆す掘り出し物が多々あります。

どうぞこまめに覗いてみてくださいね。



ペイネを彷彿とさせるレリーフが印象的な、
シルバーの貯金箱はデンマークから。
安心の鍵つきです。
【money box 2,000yen】

| Posted by kica2001 | favorite | comments(0) | trackbacks(0) |




雑貨屋店主の「かわいい かわいい」vol.04


「おばあちゃんからプレゼント」。


実家から戻ったパートナーに
そう言って手渡されたのが、これ。






大好きなボンタンアメ、なのに
もう何年も、その存在を忘れていた。


しかもこんなに大きくなって…。
感激しながら大箱を開けたら、
昔のままの小さい子たちがぞくぞく登場。

いちいち感嘆の声がでる。


お餅みたいにやわらかく
やさしい甘さも昔のまま。

次々と口にほうりこみながら
まじまじとパッケージを眺める。


かわいい。

濃紺の背景に大胆に配置された
鮮やかなボンタンのイラストも。

側面にピンク色を配置するセンスも。

昔ながらのレタリングも。


ひとつひとつ丁寧に、
オブラートで包まれ行儀よく並んだ粒たちも、

このうえなく かわいい。


そして。

買ったお菓子を大切に戸棚にしまい
孫の到着を待ちわびる95歳のおばあちゃんも、

そうとう かわいい。


たくさんの「かわいい」に包まれた
しあわせな休日の午後。




| Posted by kica2001 | favorite | comments(4) | trackbacks(0) |




森へ






細い小道をのぼり、山の奥へ。
辿り着いたそこは、まさにおとぎの森。








森の住人は、
店主がもっとも尊敬する建築家、佐々木茂良氏。








もう10年以上も前。
何気なく手に取った本に
見たこともない建物が載っていました。
それを目にした瞬間の衝撃を今も忘れてはいません。







以来、佐々木氏が手がけた建築物はすべて大切にファイルし、
いつかこの目で本物を見にいこうと心に決めていたのでした。








愛すべきヨーロッパの建造物。
それらが立ち並ぶ外国には幾度と行けども、
彼が暮らす森には、なかなか足を運べない。
店主にとってそこは、ヨーロッパより遠い日本の地でした。








「自然界に直線は存在しない。だから、
この家はどこにもまっすぐな線を使っていません」
童話に登場しそうな有機的なデザインの自邸を
このように語った佐々木氏の言葉は、
Kicaをつくる上での合い言葉にもなりました。







あれから8年。
仕事で東京へ向かう新幹線の窓から
何気なく外の景色を見ていた店主は、
見覚えのある建築物を目にしました。
あの特徴的なフォルム、素材使い…。
それは紛れもなく、佐々木氏が手がけた家でした。






たまたまその数日前、
佐々木氏の新しい建築物を雑誌で目にし、
絶賛と賞賛、想いの丈を熱く書きなぐり送ったばかりの店主。
くいいるように窓の外を見つめていると
さらに2〜3軒、彼が手がけたと思われる建物を発見。





年に何度も通る道、なのに今まで気づかなかった。
まるで、ものすごい宝物を発見したような、
懐かしい友人に逢ったような、
泣きたいような笑いたいような、
不思議な感覚に見舞われると同時に
今から始まる出張への緊張が一気に
ほぐれていくのを感じました。

「いい旅になりそう」。





まさにその翌日。出張先で店主は
なんと佐々木氏ご本人に遭遇することになります。
全身の血液が逆流するほど驚きました。

「こ、これぞ運命!…はっ、まさか赤い糸?」
「…んなわけないか」
「話しかけたい」
「でも…なんて?」
「す、好きです! 貴方が。あ、いえ貴方様の建築が…」
「…うーん。なんか怪しい。変な人と思われるだろうか」
「じゃ、じゃ、いつか私の家を建ててください!」
「…まだ場所も決まってないのに…?」
「じゃ、せめて応援だけでも…。が、頑張ってくださいっ!」
「…余計なお世話か」
「っつうか、先方も急いでるようだし、そういえば私もかなり急いでいる…」
「でも、この機会を逃したら…」
「いや、いかん。使命を果たすためにも今は1秒たりとも無駄にできない」
一人であれこれ葛藤している間に、ついにその姿を見失ってしまいました。







でもその数日後、
店にかかった一本の電話に店主はふたたび言葉を失います。

相手はなんと佐々木氏ご本人。
彼は私の問いかけに丁寧に応えてくださり、
「ぜひ一度、遊びにきてください」と
おっしゃってくださいました。





運命。
なんて言うと
大袈裟すぎて笑われるかもしれない。
でも。
強く抱いた願いは叶う。
改めてそれを確信した出来事でした。





心臓が飛び出しそうな感激から1年。
ずっと夢見描いてきた旅を
パートナーがプレゼントしてくれました。





真っ青な空のもと、
細い小道をのぼっていくと
鬱蒼とした緑に包まれるように現れる
見覚えのある屋根と煙突。







やっと逢えた。
感動のあまり声も出ぬまま、
どこから見たらいいのやら、
視点はいっこうに定まりません。






森の案内役ソフィおばあちゃんと、しばし歓談。
その森には、佐々木氏の建築アトリエはもちろん、
雑貨店やケーキショップ、
カフェやギャラリーなどが点在しており、
中でも2001年に完成したフレンチレストラン「Douceur」は
店主にとってのザ・ベスト・オブ・建築。





その全貌をこの目で確認することこそが
今回の旅の目的だったのですが、
当然のことながらレストラン内部は
その利用者しか見ることができないとのこと。





ちょうど時間はお昼どき。
「じゃ、ランチしよう!」
ついさっき鰻丼を食べたことも忘れて力強く提案するも、
ソフィおばあちゃんの顔が曇ります。
「残念ながら、レストランは3ヶ月前から予約でいっぱいで…」
「…オーマイガッ!」





地下1階・地上5階建てのレストランは、
中2階から3階にかけて5つの小部屋が立体的につくられており、
一度に5組のゲストしか受け入れることができません。
ランチは2部制だけれども、一日10組限定、
しかもシルバーウィークの初日とくれば
これは当然の現実。





連休の渋滞で到着時間が読めないことから、
あえて予約もせずに訪ねたけれど、
やっぱり、無念…。





パートナーと顔を見合わせて
がっくり肩を落としていると
「ちょっと待ってて」と
ふいに駆け出すソフィーおばあちゃん。

レストランの重いドアからニコニコ顔で出てくると
「あなたたちはラッキーだわ。ちょうど今、キャンセルが出ましたよ」。

なんというしあわせ。

「強く抱いた願いは叶う」。
そんな言葉がふたたび胸をよぎります。





ラッキーは続きました。

休日なのにたまたま出勤されていたアトリエの建築スタッフが
ちょうどランチから帰宅したところに運良く遭遇。
アポイントもとらず気まぐれに訪問した私たちに
佐々木氏独自の建物づくりのお話をしてくださり、
さらにはかつて佐々木氏とご家族が暮らしていた家を
案内してくださることに。





爽やかな風が吹く屋外のテラスでお茶をいただきながら
そこに建てられた建物の誕生秘話などを伺っていると、
なんとそこへ佐々木氏ご本人が登場。
これには私もパートナーも腰を抜かしそうになりました。
「お、お休みではないのですか?」
「明日からキャンプに行きますよ」
「…つ、ツいてる」





佐々木氏は、遠い過去に氏の建築への賞賛を熱く書きなぐり送った
店主のことを微かに覚えてくださっていて、
遠方ではあるけれど、ご縁があればぜひお力になりますと
優しく穏やかに語ってくださいました。
店主が抱いていたイメージ以上に
純粋で若々しく
生き生きとしたパワーに溢れた素敵な方でした。





森の中に点在するかわいい建物を夢中で巡っていると、
あっというまにランチの時間。





いよいよ十数年分の夢を閉じ込めた
重厚な扉が開きます。






ヨーロッパのワイン蔵を思わせるそこには、
残暑厳しい外の空気や喧噪を一瞬で忘れてしまう
ひんやりと心地いい空気と
穏やかで静かな時間が流れていました。







木や石、鉄、漆喰、ガラス、選び抜かれた古い布を駆使し、
至る所に設けられた階段、扉、そして窓。
期待通りのすばらしい空間が詰まっていて
いちいち涙が出そうになります。





建築が好きで、インテリアが好きで、
もう10年以上、家探しを続けている店主は
たぶん普通の方よりも多くの家を見てきたけれど、
こんな空気は、かつてどこの家にも存在しなかった。
○○風とか、なんちゃって○○とか、
そういう建物とは明らかに一線を画する
本物の空間が至るところに広がっていました。






1ミリも隙のない手仕事の細やかさ、
穏やかな静に包まれながらも溢れ出す心地よい温かみ、
さまざまな素材が織りなす圧倒的な存在感。
造り手のこだわりはもちろん、
そこで過ごす人への優しさが密に詰まっていました。






ふいにギャルソンが席に現れ、
ワインとビールをサーブ。
「オーナーからの贈り物です」。

粋なサプライズにまた感動。
そして、
店主以上に興奮し、キラキラとした目で
あちこちを歩き回った挙げ句、
ギャルソンに軽く制されるパートナーの姿が
なにより嬉しく。






大好きな人と、
この夢のような空間で過ごしたひとときは
きっと一生忘れないと思う。





そして私たち以上に、
数多くの人々を幸せにしているのであろう
この空間の造り手に再び敬服。





ランチの後は、待ちに待ったお宅訪問。
レストラン脇にある鉄のゲートを開けて
中庭のカフェを通り抜けた奥にその建物は静かに佇んでいました。





古い古い雑誌の紙面を
擦り切れるほど眺めては溜息をついた小さな家。
かつて佐々木氏が暮らしたそこは、
現在はスタッフルームとして使用されているため、
内部を見ることは原則としてできません。





貴重な経験に、胸が高鳴ります。


厚くて重いドアを開けると、そこはもうダイニング。
玄関三和土も下駄箱もありません。
モルタルでつくられたキッチンの流し台が目の前に飛び込みます。
もちろん食洗機などありません。





「今は私たち従業員が使っています。当時オーナーが住んでいた頃からは
随分変ってしまって、長年の夢を壊してしまうかも知れませんが…」
案内してくださったアトリエスタッフは、
躊躇しながらも、すべての空間を快く披露してくださいました。

1階は全部でざっと15畳程度。
決して広くはないのだけれども、ダイニングには
庭へ出入りできる吐き出し窓があり、
天気のいい日はきっとここを開け放ち、
外で食事を楽しんだのだろうと想像が膨らみます。





キッチンダイニングの低い天井とは対照的に、
左端にはちょっとした吹き抜け空間があって
薪ストーブの煙突が二階の天井へと伸びています。
「冬はこれ一台で家全体が温かくなるんですよ」

漆喰で塗り固められた階段と手すりが、
有機的なラインを描きながら二階へと誘います。





階段をあがると小さなベランダ、
寝室、そこに直結した浴室兼トイレと
ハシゴで上るロフト。
居住空間はただそれだけ。

この家の写真を初めて目にしたとき、
あまりにストイックなその造りに驚きながらも
かつて日本では見たことのなかった新鮮なスタイル、
潔さに大きな衝撃を受けました。

暮らすための最小限の設備しかないのだけれども、
どこよりも心地いい住まいの姿がそこにありました。

懐かしい上部タンク式のトイレ、
もちろん保温便座も洗浄機能もありません。
トイレ脇に置かれた大きな浴槽、
もちろん浴室暖房も追い炊き機能もありません。

でも、ガラスのない分厚い木窓が設置され、
窓を開け放つと外風がふんだんに流れ込みます。

さらに、木板の中央にはガラスを嵌め込んだ秘密の小窓があって、
ここを開ければ、寒い冬でも外の景色を楽しみながら
ゆっくりとお湯に浸かれるという仕組み。

暮らしを楽しむちょっとした工夫が
至るところに施されていて、そこにいるだけで
心が落ち着き、あたたかい気持ちになりました。







「これぐらいの小さな家はどうですか?」
スタッフが微笑みながら問いかけます。

若くて美しいその女性は建築士の資格を取得した後、
どうしてもここで働きたくて
1年間、席が空く日を待ちつづけたとのこと。

この森に佇む建物たちを見て、
その気持ちが痛い程わかりました。





欲しいものは欲しい。
いらないものはいらない。
そのように暮らしたいと思っています。





終の住処を求めて彷徨い、地に足のつかない暮らしを長い間続けていると
それなりの見栄えと、それなりに便利な機能を満載した、
それなりに豪華な家に憧れたりもする。
はたまた正直どうでもよくなって、住めればいいやと思ってみたりも。

でも。やっぱり。
私が家に求めるものは。




自分には何が必要で、何が不要なのか。
それがはっきりわかった貴重な旅だった。



いつの日か。
と思ってみるけど、
それはきっと
儚なすぎる夢のお話。

でも。

「強く抱いた願いは叶う、でしょ」

そう笑い合い、
夢のようなおとぎの森に
しばしの別れを告げたのでした。






*突然の訪問者に快く丁寧に案内をしてくださったスタッフの皆様、
ソフィおばあちゃん、そして佐々木茂良様。
すばらしいひとときを本当にありがとうございました。
心からお礼申し上げます。

ぬくもりの森
静岡県浜松市西区和地町2949




| Posted by kica2001 | favorite | comments(7) | trackbacks(0) |




廃墟へGO ☆


椅子

廃墟が好きだ。
子供の頃から。

主(あるじ)を失い所在なく佇む物鬱げな表情。
栄枯盛衰を知るが故の懐の深さと孤独の色濃さ。
人工物にして人を寄せ付けなくなるまでの物語。
止まったままの時間に対する興味と、懐古主義。
秘密基地への憧れと未知の世界に対する冒険心。
宝物か怪物か。潜む何かに対する期待と好奇心。

理由はいろいろあるけれど
すべて後づけ、理屈なんて
ホントは全く必要ないのだ。


幼い頃、空き家や廃校、工場跡を見つけると
なんとかして忍び込み、
各々の宝物を持ち寄ってみんなで秘密基地をつくった。

すぐに大人に見つかって
叱られ撤収するのがオチだったけど、
新しい物件を見つけると
凝りもせずその廃墟へと足を運んだ。




さて先日。
旅の途中で、
私は壮絶な廃墟に出会った。

それは、近年稀に見る大物だった。
ここまで見事な物件には、
そうそう出会えるものではない。

夢中でハンドルを切り、
いま来た道を引き返す。


外観ピンと空

外観/正面


敷地はざっと2000坪。
ボウリング場とパチンコ店、社員寮で構成された巨大な複合施設跡。

川口探検隊よろしく
さっそうとした足取りで
入口へ続く煉瓦の階段を昇る。

大きな階段は途中で二手に分かれていた。
まずは手前の方へ。

パチンコ入り口

パチンコ店の入口だ。まるで怪獣が大暴れしたような荒れ具合。
一体どうやったらここまでできるのかと首を傾げるぐらい、
すべてが荒れに荒れている。
2センチ余の厚いガラス壁は半分以上無惨に割られて粉々に散らばり、
無数のパチンコ玉とともに
まるで大量の氷雪のように床に厚く降り積もっていた。

パチンコ列パチンコ横外観


…う! これはちょっと…まずくない?
いくら廃墟好きとは言え、極度に恐がりの私。
心霊スポットと隣り合わせのこの状況はかなり苦手なのである。

「どうぞどうぞ、お先にどうぞ」
顔を引き攣らせながら先導役をパートナーに譲る。
彼は「またか」と言いたげな顔でさっさと中へ入っていった。
その背中にへばりつきながら、
「あっち行って」「あれ見たい」と指示を出す私は、
まさに川口浩隊長状態。

抜けた天井から剥き出しの骨組みと空が見え、
今にも崩れそうな危うさを漂わせている。

ギィー…ギィー…。
無数の穴からはクロスや錆びた鉄骨がぶら下がり、
風にゆらゆら揺れながら怪しい音をたてていた。
整然と並んだパチンコ台はところどころ引き抜かれて床に崩れ、
ガラス片に埋もれてる。

パチンコ/カウンター


もしも。今これらが突如点灯して
電子音を響かせようもんなら腰を抜かすこと必至。
あぁでも、ファンタジー映画か、サバイバルホラー映画のプロローグみたいで
意外と楽しいかもしれない。うん。私ならここをロケ場所に使うなあ。
あれこれ妄想しながら歩を進める。

昔は華やかだったのだろうカウンターのまわりには、
プロボウラーによるサイン色紙や漫画雑誌、
コインの包装紙らしきものが束になって散らばっている。
建物が放置されて12年余りの月日が経つことを
置き去られたカレンダーが物語っていた。

さんざん度肝を抜かれたけれど、こんなものは序の口だった。
予想をさらに上回る手に汗握る空間が
この廃墟にはまだまだ隠されていたのだった。


パチンコ店の脇に面したドアの向こう、
そこには信じられないほど広大な暗闇が広がっていた。

体育館のように広く、映画館のように暗いそこには
レーンはもちろん床板すら残されてはいなかった。
水たまりいっぱいの土の地面の上には
無数の細かいゴミが散らばっていた。

まさに映画のセットそのものだ。
落書きだらけの壁に四方を囲まれたそこは
悪役達のアジトで、主人公と悪役のドンが
最後の決着をつける、お決まりシーンが目に浮かぶ。
暗くてよく見えないけれど、
何かの死体が転がっていても決して不思議ではない。

ボウリング場/広大な闇
ボウリング場/広大な闇3ボウリング場/闇ななめ
ボウリング場/広大な闇2外観/横壁/大穴
外壁/穴だらけけむし



なかなか前に進めない私の背後で
「ヂョワッ…ヂョワッ…」
パートナーが「バイオハザード」のゾンビの音を真似る。

「やめなさい!」
思わず大人げなく叫ぶ。
天井の穴から血を滴らせた巨大ゾンビが今にも襲ってきそうな気配。
この空間なら何が登場してもまったく違和感がないのだ。

こわい、正直こわすぎる。

翌朝の新聞に
「神戸市の夫婦、旅行に出たまま行方不明」
こんな文字が踊るなんてシャレにならない。

必死に目を凝らしながら
向こう側の出口へ。
大量に置き捨てられたパチンコ台を脇目に通り過ぎると
すっかり自然に支配され無惨な姿の軽自動車。

パチンコ大量クルマ

奥の社員寮をおそるおそる覗く。
ロッカールーム、洗面室、トイレ、二間つづきの和室…。
ある時突然、立ち去らねばならなかった何かの事情が
ここにはあったのだろうか。
思いきって中へ。

寮/部屋寮/廊下
裏倉庫闇から外

長い廊下に隣接した部屋をひとつひとつ覗いた後、
いちばん暗い突き当たりのドアを開けてみた。
再び、あの広大な暗闇映画セット空間。

ありし日の賑やかな姿をあれこ想像しながら
再びエントランスへ戻り、今度はもう一方の階段を昇る。

ボウリング場/エントランス入口


そこは、ボウリング場のエントランスで
ガラス壁に面した明るい開放的な空間だった。

ロッカー
椅子うしろボウリング場/エントランス/奥から
並んだボウルボウリング場/エントランス/パチンコ台
ボウリング場/エントランス/ガラス壁

たくさんのボールやシューズ、バッグ、優勝カップなどが
ロッカーの前に散らばっている。
そしてここにもパチンコ台…。




階下へ投げ落とされたのか、
赤と黒の回転椅子は土の上に転がるものもあれば、
ガラス壁の割れ目に不安定に引っかかったままのものもある。

非常口

非常灯は天井から半分ちぎれかけ、
風がふくたびにギーギーと音を立てて揺れていた。

小一時間ほど探検を堪能し、
私達はその建物を後にした。


地面の上のボウル


次に訪れるとき、
誰かの手によって
新しい命を吹き込まれ、
鮮やかに甦っているといいな。

人間がつくりだした、人間のための空間が、
人間に捨てられ、いつか忘れ去られていく。

時間に置き去りにされた空間を訪れる人間は実にさまざまで、
そこを敬う者あれば蔑む者もあり。
でもその空間はただ寡黙に、
時が過ぎていくのを待っている。
いつしか人間を寄せ付けない程の強烈な存在感を身に纏いつつ。

ここで何が起こったか。
その過程を想像すると、時間がたつのも忘れてしまう。
冒頭にも書いたけれど、
止まったままの時間に対するノスタルジアはもちろん、
自分が主(あるじ)になれるかも…そんな可能性への期待もあるのだろう。


割れたボウル


田舎には田舎の、都会には都会の
古きよき建物は今も沢山残ってる。
たとえ廃墟と化しても
いつか新しい主を得て息を吹き返し、
鮮やかに甦ると私は信じる。

ボウリングピン


アルプスの少女ハイジが
冬のあいだ山をおりて
おじいさんと暮らした街の家も元廃墟だった。
街の人の協力でそこに住める状態まで整える、その過程が楽しくて
子供の私は画面に釘付けになっていた。
さまざまなところに階段や扉があるその複雑な家に
今も本気で憧れている。

廃墟が好きだ。
その時代の英知を尽くして創られた高い造形美を
今の時代に再現するのはとても困難だからである。
できればいつか廃墟を手に入れ、
自分で手を加えて住んでみたいと思っている。

もちろん条件がある。
今回掲載した写真の中に
望まざる何かが写ってなければ…
の話だ。


| Posted by kica2001 | favorite | comments(4) | trackbacks(0) |




ラヴレター vol.4

「完璧なひとめぼれ」
というものは確実に存在する。

好きで。
好きで。
大好きで。

だけど。
伝えた瞬間、
すべてが壊れてしまいそうで。

何日もかけて
ありったけの勇気と正しい言葉だけを集め、
抑えきれない気持ちを伝えたら。

「私も好き。おつきあいしましょ」

信じられないぐらいあっさりと
想いは成就してしまった。

それが、その作家さんとの出逢いだった。

yoda1


Yoda Hidemi

全国で活躍する彼女の名、そして個性的なその作品を
すでにご存知の方も多いと思う。

古い本をメイン素材に
紅茶染めしたレースや布を独自にアレンジ、
バッグやブックカバー、ランプ、傘をはじめ
想像を凌ぐ無限のアイテムに
その独特の世界観を表現しつづける新進気鋭のアーティスト。

彼女の創る作品を初めて目にした瞬間
今まで感じたことのない興奮を覚えたのは
私だけではないだろう。

どこまでも繊細、なのに
これ以上ない存在感。

「欲しい! 持ちたい! 一緒に暮らしたい」
単純にそう思える作品って、実はそう多くはない。


自分が惚れ抜いた作品たちを
Kicaでご紹介することができ、
心の底から嬉しく思う。

両の手のひらに大事に包み込んで
こわさないように
離さないように
ずっとずっと守り続けたい。
そんな気持ちで
Yodaさんの想いを
たくさんの方にお伝えしていきたい。


現在Kicaでは
本型のクラッチバッグ、
日傘、アクセサリーを販売させていただいています。
すでに完売した商品もありますが、
ぜひその素晴らしさを手に取って
感じていただければ…と思います。

yodabag1
yodabag2
yodabag3
yodabag4
yodakasa1
yodakasa2

yodaacce1

さて、昨日。
エキシビジョンを開催中のYodaさんが
忙しい合間を縫って
はるばるKicaに遊びにきてくれました。

初めての対面を前に
ドキドキが隠せない店主。
おつきあいを始めて数ヶ月になるというのに
関東在住だと知ったのもごく最近、
声すら聞いたことがなかったのだ。

ディスプレイには満足してもらえるだろうか…。
がっかりされたらどうしよう…。

「Yodaさん、ご来店です〜!」

スタッフの声に促され、
控え室で出番を待ってた踊り子みたいな面持ちでショップへ。

その瞬間、すべての不安は歓喜に変わった。
想像どおり。
いや想像を遥かにうわまわる素敵な女性だったから。

「♪☆*@〜!!」
言葉にならない声をあげていたのは
私だけではなく、Yodaさんも然り。
これは今思い出しても笑えてくる。

言葉を交わす前から
魅了される人って、いる。

初めて会うのに
何年来もの友人に久しぶりに会ったような
不思議な錯覚に陥ったのは、
気さくで明るく穏やかなYodaさんの魅力所以。

他人にこんなに興味が湧くのは
ごく稀…いや初めてのことだった。
与えられた僅かな時間を貪るように
尽きない話に夢中になった。

夕方には、暮れゆく神戸の町を電車から眺めながら
仲良しのショップ、JeJeさんのパーティーへ。

JeJeさんではバッグ作家「SOLUS」さんのイベントが開かれており、
そこに集う誰もが競い合うように貴重な出逢いを楽しんだ。
(JeJeさんで開かれたパーティーの様子も改めてご紹介します)

楽しい時間はあっという間だったけど、
またすぐにでもお会いできれば…と思う。

今度はぜひ
Yodaさんも大好きな神戸の町をご一緒したい。

素晴らしい時間を本当にありがとうございました。


Yoda Hidemiさんのエキシビジョンが現在大阪にて開催されています。
幅広い作品群を一挙に集めたイベントに
ぜひ足を運んでみてください。


exibition
exibition2

YodaHidemi Exhibition
...White Christmas...

日時:2008/12/20(Sat)-12/28(Sun)    
   11:00-20:00
   ※水曜日はclose 

場所:cavane 
   〒 550-0003 大阪市西区京町堀1-14-25
   TEL/FAX 06.6449.8588 
| Posted by kica2001 | favorite | comments(0) | trackbacks(0) |




雑貨屋店主の「かわいい かわいい」



きょう、かわいいと思ったもの。

飛行船


見あげた空に浮かんだ飛行船。
→奇跡だと思った。


ベランダに干したリネンレースのクロス。
→パリパリの手ざわりが心地いい。


レヲ


ベビーバスでお昼寝中の愛猫。
→いつもいちばんいい場所を探しだす天才。


そして

庭に実ったさくらんぼ。
→毎年、泣きたいぐらい幸福な気持ちになれるもの。

さくらんぼ4さくらんぼ3

さくらんぼ2さくらんぼ1



| Posted by kica2001 | favorite | comments(4) | trackbacks(0) |




語るもの 〜 もの がたり 〜
ソファとトルソーソファとレヲ

ニューアークのソファ

2年前のイギリス買付けで
「どうしても連れて帰りたい」と思ったもの。

それが このソファだった。

めくれあがった革から 詰められた藁がとびだし 
へたったクッションからは 独特の匂い…。
ものすごく年期の入った…というか、
「こんなん売ったらアカンやろ〜」と叫びたくなる
ボロボロのシロモノ。当然、商品には できない。

でも でも!
ぎっしりと打ち込まれた鋲と
余計なものをそぎ落としたシンプルなフォルム。
そしてなにより この革の色、質感。

広大な農場を使ったフェア会場で
草っぱらに 無造作に置かれ
容赦ない雨に打たれながらも 
それは ものすごいオーラを放って
私に訴えかけていた。

「いっしょに暮らそうじゃないか!」


通りかかった顔見知りのディーラーたちは
「え〜、これ買うの? やめた方がいいんじゃない」と呆れ顔。

たしかに 連れて帰ったら
オットは卒倒するかもしれない…。
でも もう 会えないかもしれない。


買付けにおける 私の鉄則。
「迷ったら買え!」
そうだ。買わずに後悔するより
買って後悔するほうがいい。


かくして ソファは 
わが家にやってきた。


…う!
く、くさい。

雨にぬれたまま
ひと月にわたる船旅を終えたクッションは
その異臭をより強烈なものにしていた。

さらに。
コンテナの中で謎のオイルをぶっかけられたらしく
ただでさえ迫力のあった風情は、よりすさまじさを増していた。


「…座りたくない。いや 座る日がくるとも思えない」
正直、後悔した。

「どうぞ 座って」「いえいえ キミから」
夫婦でさんざん譲り合ったあと、
あ。そうだ、ネコのベッドにしようと思いついた。

しかし。
好奇心旺盛なレヲ(ネコ)ですら
その異様な物体に近寄ろうとはしなかった。


まずクッションをざぶざぶ洗って、
くる日も くる日も 天日干し。
めくれた革を専用接着剤で丁寧に補修したあと
ワックスやクリームを
なんども なんども 塗りこんだ。
「生き返れ!」と念じながら。


いつしか異臭は消えてなくなり
おんぼろソファは すっかり
レヲと私のお気に入りの場所になった。


愛を注いであげると
ものは いろんなことを語りだす。
いろんな ものがたり が 生まれる。

たまにツメ研ぎ代わりにされて
私を絶叫させるけど
また直せばいいやと気楽に考えることにしている。

このキズも あのキズも 
愛された故の勲章、そう ものがたりのひとつ。

そんなことを教えてくれたソファだった。

Posted by Kica manager

| Posted by kica2001 | favorite | comments(2) | trackbacks(0) |







calendar
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>


Recent Entry
   
follow me
   
archives
   
category
   
recent comment
search this site.