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こども
 


今から16年前、
私は宝物を授かりました。




外国人が暮らす古いアパートの中庭で生まれたその黒猫は、
痩せっぽちで我侭だったけど、
人なつこくて、可憐で、美しく、
一瞬で自慢の娘になりました。

ジジ。

親友がそう命名し、私たちの生活は始まりました。

気が狂いそうに孤独な夜も、
友人が集まる愉快な夜も、
あの恐ろしい大震災も。
ちょっぴり切なかった実家への帰還も。
田舎でのびのび暮らした時間も。
ずっと、いっしょ。ぜんぶ、いっしょ。
この16年、めまぐるしく生活は変わったけれど
唯一、ずっと変わらずそばにいてくれたのが彼女でした。

誰よりも近くで、
誰よりも一生懸命、
私を守ってくれたジジは
信じられる姉妹でもあり、
最高の親友でもあり、
そして甘えん坊のこどもでもありました。

僅かな古い家具と痩せっぽちの黒猫1匹。
3tトラックに載せた私の嫁入り道具を見て、
母は本気で嘆いたし、友人は「コブつき」って笑ったけれども、
私にとって幸せの道具はそれで十分すぎるほどでした。




ジジの不調に気づいたのは1週間ほど前のこと。

すぐにパートナーが病院に連れて行ってくれたけど病状はよくならず
今日、ふたたび病院のドアを叩き、
ジジは明日、緊急手術を受けることになりました。


「なにしろ高齢ですから。最悪の事態も覚悟してください」。
院長先生の言葉を聞きながら、
ただただ「ごめんね」。
そんな言葉しか出てきませんでした。


この数年、「忙しい」を理由に全然構ってあげられず、ごめん。
レヲが加わってから寂しい思いばかりさせて、ごめん。
あなたのヘルプに気づいてあげられずに、ごめん。
もっともっと美味しいゴハンをあげたらよかった。
いっぱい大切なものをもらったのに、
私はいつも自分のことだけで精一杯だった。
本当に本当に、ごめん。




16年前、初めて出逢った日から今日まで
いや、もちろんこれからも
互いを尊重しあい、慈しみあい、
なによりも大切だと実感しながら過ごす日々の意味を、
晩ごはんをつくりながら、なんとなく考えていました。

「さよならだけが人生だ」。
ふと、大好きな人が教えてくれた言葉を思い出す。

「中国の漢詩を井伏鱒二が訳したもので、
寺山修司や映画監督の川島雄三が愛した言葉」は、
「一見寂しい言葉に聞こえるけれど
古いものにしがみついて保守的にならず、
いかに素敵な新しいことに出会える自分でいるか。
人生は美しい物・人・出来事との出会いの連続。
一期一会を楽しみましょうって意味なんだよ」って
その人は偶然ながらも今日、
再度私にていねいに教えてくれました。


今の私には、言葉の意味を実感するほどの強さはないけれども
強くて優しい、こんな言葉の存在を教えてくれる
素敵な仲間が現れることを、
弱い私とともにジジは今日まで
待ちつづけてくれたのかもしれません。







ニンゲンのこどもは授からなかったけどれも
神様が贈ってくれた
大切な大切な、わたしの、こども。

二人と二匹だけの
小さな家族なのだけど、
また
ふたたび仲良く楽しく暮らせますように。

あした、

神戸の空に
西宮の空に
全宇宙の神様に

祈ろうと思う。

| Posted by kica2001 | life | comments(4) | trackbacks(0) |




ひまわり (2009/11/29 12:00 PM)
陰ながらわたしも祈っています。


emiri (2009/11/29 10:12 PM)
私もお祈りしています。


shiho☆ (2009/11/30 9:20 PM)
初めまして。
心の奥にズ・・・ンときました。
ジジとは立場は違うけれど、大切な存在を失う辛さも、かけがえのない大切な存在が居る幸せも、私は経験しました。
だから痛いほどその気持ち、分かります。
ジジとあなたのこと、私もお祈りしています。


rumi (2009/12/10 3:49 PM)
日記を時々、読ませて頂いています。
私も、高齢なワンコがいるので不安な気持ちが凄く分かります。
手術が成功しますよーに。











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