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起点



 「出逢ってくれて、ありがとう」


ひとときも途切れることなく訪れてくださる全ての方に、
その店主は自身のこれまでとこれからを丁寧に語り、
最後にそう言って笑顔で一人ひとりを見送った。


2012年9月3日。
SAFFRONが、
5年の歴史に幕を降ろした。


最後の活動となった
「Last Dance at Kica」。

その終始をそばで見守りながら、
私もまた
実にいろいろなことを考えていた。


作り手がものに込める思い。
使い手がものに求める思い。
両者をつなぐ場としての店。
自分が求めている、さまざまななにか。
自分に求められる、さまざまななにか。


かたときも休むことなく
笑顔をたやさず
嘘をつかず
品にも
人にも
そして
なにより自分自身に
真摯な姿勢を貫いた彼女に
心からの称賛と感謝と祝福を贈りたい。

夢のように美しいラストダンス、
その瞬間に立ち会えたことを
心から幸せに思う。


「SAFFRONは、店は、
たくさんのものを私に与えてくれました。
夢のような時間でした。
大好きなまま終われて、いま本当に幸せです」

最後のお客様を見送った後、
彼女がポツリとそう言った。


店を持ったことがある人なら
きっと一度は、
その終わりに方ついて
考えたことがあると思う。

結論を出すまでの経緯は数多あるけれど、
楽しかったよ、ありがとう。
最後は笑顔で、ただそれだけ。

私もそうありたいと思う。


すべては、
はじまりのためのおわり。
いりぐちのためのでぐち。


IMG_4377.JPG



誰も居なくなった店内で乾杯した後、
別れ際、渡された封筒。
帰宅して開封した
その瞬間、
思わず声が漏れた。



ずっと欲しかったPandra(パンドラ)

裏には、「Dum spiro, spero」の文字。
ラテン語で「生きてる限り、希望はいつもそばに」という意味だ。

「ドゥム スピーロー スペーロー」。

口にすると音の響きがとても優しく、
想像以上に心に沁みた。



「あれ、欲しいんだけど」
「お客様が優先です。売れ残ったら、ね」
「売れちゃったじゃん! もうないの?」
「ありません」
「つくってよ」
「つくりません」

会期中、何度も交わしたやりとりを思い出し、
笑って泣いて笑った。


封筒には二人のかわいい踊り子たちも潜んでいた。

会場の片隅に佇むこの小道具に心奪われながら、
最後まで「欲しい」とは言えずにいたのを
彼女は気づいていたのだろう。




宝物
たくさん。
出逢ってくれて、ありがとう。

最後に。
たまたま見つけた
5年前の彼女のことばを。
すべては、はじまりのためのおわり。
やはり、そう思うのだ。




******


起点

新たな始まりに際して。
この場所へ導いてくださった皆さま
この場所まで一緒に歩いてくださった皆さま
温かく身守ってくださった皆さま
心から感謝しております。
ありがとうございます。
新たな気持ちで。
よろしくお願い申しあげます。

サフランは秋に紫色の花を咲かせます。

ここから。
始めたいと思います。

2007年 09月 23日 SAFFRON 矢作典子



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