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物語を味わう器。


IMG_1533.JPG


 ブルー ウィロー。

中国を彷佛とさせる絵柄ですが、
実は生まれは1780年の英国。
陶磁器メーカー、ミントンの創始者
トーマス・ミントンが創作したといわれてます。

異国情緒あふれるパターンは、
たちまちヨーロッパ中の人々を魅了し、
ウェッジウッドやロイヤルドルトンなど
数多くのメーカーが、競うように
同じパターンの食器を生産しました。

ここ日本にも江戸末期に伝わった後、
瀬戸や多治見などで大量に生産されたため、
目にしたことがある方も
多いのではないでしょうか。

時を経て、
海を渡り、
作り手が変わっても
必ず描かれる
柳、二羽の鳥、楼閣、橋、小舟、そして3つの人影。

そにには
哀しい恋のお話が隠されています。


舞台はむかしむかしの中国。
柳やオレンジの木などが植えられた
それはそれは立派な楼閣(画像 右)に
クーン・セという美しい娘が住んでおりました。

クーン・セは
父親の秘書である若者チャンと恋に堕ちます。

クーン・セの父親は有名な高官でしたが、
裏で賄賂を取り立てる悪辣な男でした。

あるときクーン・セの父親は、
自身の悪事を知りすぎたチャンに解雇を言い渡します(※1)。

チャンが楼閣を去る前の晩、二人は永遠の愛を誓い、
クーン・セの侍女の助けを借りて逢瀬を重ねておりました。

二人の密会を知った父は激怒し、
クーン・セを敷地内の館に閉じこめ、
庭に高い塀を巡らせたあと(画像下 ※2)、
軍人ター・ジン(※3)と娘の政略結婚を画策します(※4)。

クーン・セに許されたのは、庭と茶室の往来のみ。
家と茶室を隔てるように流れる小川(画像 中央)に
チャンは愛のメッセージを忍ばせたココナッツの殻を
流しつづけました。

いよいよ婚礼の日。
招待客で賑わう屋敷にチャンはそっと忍び込み、
クーン・セに逃げるよう合図を送ります。

やがて皆が泥酔した頃、
二人は手に手を取って屋敷から逃げ出します。

それに気づいた父親は、怒り狂って
護衛ともども二人を猛追。

純潔を示す糸巻き棒を持つクーン・セ、
婚礼道具であった宝石箱(※5)を持つチャン、
鞭を振る父親。

絵柄には橋を駆けぬける3人の姿が見られます(※6)。


どうにか逃げおおせた二人は、
小舟で離れ小島へと辿り着き、
そこに小さな家を建て、
幸せに暮らしはじめます。

左上、小舟の先に描かれた小さな家がそれ。

のちにチャンは有名な作家になりますが、
その名声はター・ジンの耳にも届いてしまいます。
婚礼の席で恥をかかされたター・ジンは復讐に燃え、
大軍を率いて二人の住む島へ。

チャンは島民の助けを借りて闘いますが多勢に無勢、
ター・ジン勢の兵士によって殺されてしまうのです。

愛する人の訃報を聞いたクーン・セは、
絶望のあまり家に火を放ち、
自らの命を絶ってしまいます(※7)。

その瞬間、チャンとクーン・セの魂は
二羽の不死の小鳥(※8)に姿を変え、
永遠の愛の象徴として
どこまでもどこまでも
天空を舞い続けたのでした。



もし
ウィローパターンを見つけた際は、
この物語を思い出してみてください。


お皿に載せた料理はもちろん
使うたびに
まるで名画を見るような
そんな気分も味わえる
一枚です。



※1/チャンが解雇された理由は、身分違いの一人娘との恋愛を父親に反対されたためとの説もあります。
※2/メーカーによっては柵が描かれていないものもあります。
※3/ター・ジンは裕福な公爵という説もあります。
※4/ター・ジンと婚約させた後に、クーン・セを幽閉したという説もあります。
※5/宝石箱はター・ジンから贈られたという説もあります。
※6/メーカーによっては橋が描かれていないものもあります。
※7/二人を殺したのは父親だという説もあります。
※8/ハトという説もあります。

Willow pattern plate by SASAI IRON STONE CHINA

| Posted by kica2001 | antique | comments(0) | trackbacks(0) |













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