<< ルール | main | 語るもの 〜 もの がたり 〜 >>
Miel by 6 contents
薔薇

2007年 最後の日。

苦楽園の
愛すべき店が
またひとつ、
灯りを消した。

フラワーショップ
Miel by 6contents

その洗練されたアレンジは
多くの雑誌の 紙面を飾り
全国に熱狂的なファンを携え
なんの曇りも かげりも見えない直中
本当に惜しまれてのクローズだった。


思えば7年前
黙々とKicaの壁を塗っていた私に声をかけてくれた人、
それが Miel by 6contents 代表 田中さんだった。

当時 新しくはじめる花屋の内装を考えていた彼に
Kicaを手がけてくださった建築家 荒木氏を紹介したことで
私たちは少しずつ話をするようになり
Kicaのオープンから数ヶ月のちに 6contents が誕生した。

なかなか認知されない互いの店を
私たちは行き来しながら
迷いや悩みを相談し
ときに励ましあい
店について
夢について
時間を忘れて語りあった。

不器用で 要領がいいとは決していえない人だけど
いつも ていねいに 言葉を選んで話す彼は
まっすぐで 誠実で あたたかく 
何度その存在に助けられたかわからない。

自分がどんなに辛いときでも
いつも他人のことを心配している。
そんな人だった。


去年の夏 友人に花を贈ろうと
Miel を訪ねたときに
「年末にゆっくり食事でもしませんか」。
そういって 彼はにっこり笑った。

夏のさなかに年末の話?
ここ数年、プライベートなおつきあいを
ほとんどしていなかったので
そのひとことで 彼の考えていることが
なんとなくわかった。

店 やめるんだ。


予想は的中、
彼は パリへわたって
お花の仕事をやりますと言った。
日本に帰ることは
考えていない とも。


自分の気持ちに正直に
決めた道を突き進むこと。
それは私を含め みんなの夢だ。

しあわせなことに
彼も 私も わりと自由に
夢をおいつづける環境に恵まれた。

なにげなく くりかえされる幸福な日々のなか
守るべき大切なものが増えるほど
ときに自分らしく生きることの意味が
わからなくなることがある。


大切なものを守るために
ほしいものを諦めたり
進むべき道を前に ふみとどまったり。
そんな生き方も すばらしいと思う。

ただ
一度きりの人生だからこそ
後悔はしたくない。

わがままだと言われても
それが 前に進むための方法のひとつなら
私も いつかきっと 同じ選択をすると思う。
たとえ 誰かを傷つけることになっても。


そんなことを話しながら
暮れていく2007年 大雨の夜
私は彼と ごはんを食べていた。


人生のふしぶしで
自分が下す決断が
果たして
まちがいなのか
正しいことなのか
きっと それは
死ぬ間際まで わからない。


出ない答えに
悩むぐらいなら
いっそ とことん
自分らしく。



「もっと腹わって 話しましょうよ」
「腹わらないのは そっちの方やん」

その日 なんどか かわしたやりとり。
それは 私たちの間柄を象徴するような会話だった。
近くも遠くもない場所で
お互いをみてきて
きっと 多くの部分で
私たちは 理解しあえないものをもっていると
互いに気づいてはいたけれど
無理にわかりあおうとは思わなかった。

いま思えば
ぶつかりあって 腹わりあって
もっと仲良くなれたらよかった。
7年の月日をふりかえって
そう素直に思えた楽しい夜だった。


旅立ちをまえに
自分にできる最大限を 彼に贈りたいと思うのだけど
結局 最後まで 彼が望んだ会話はもちろん
気のきいた一言すら かけることもできず
そんな自分をもどかしく思う。


どうか
海の向こうでも
花屋という幸福な人生を
めいっぱい謳歌されますように。

どんなに忙しくなっても
かわらない優しさで 
接し支えてくれたことに。
そして
出逢えた奇跡に。

心から感謝します。

本当にありがとう。

posted by Kica manager


| Posted by kica2001 | I think! | comments(0) | trackbacks(0) |













url: トラックバック機能は終了しました。



calendar
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< May 2020 >>


Recent Entry
   
follow me
   
archives
   
category
   
recent comment
search this site.