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語るもの 〜 もの がたり 〜
ソファとトルソーソファとレヲ

ニューアークのソファ

2年前のイギリス買付けで
「どうしても連れて帰りたい」と思ったもの。

それが このソファだった。

めくれあがった革から 詰められた藁がとびだし 
へたったクッションからは 独特の匂い…。
ものすごく年期の入った…というか、
「こんなん売ったらアカンやろ〜」と叫びたくなる
ボロボロのシロモノ。当然、商品には できない。

でも でも!
ぎっしりと打ち込まれた鋲と
余計なものをそぎ落としたシンプルなフォルム。
そしてなにより この革の色、質感。

広大な農場を使ったフェア会場で
草っぱらに 無造作に置かれ
容赦ない雨に打たれながらも 
それは ものすごいオーラを放って
私に訴えかけていた。

「いっしょに暮らそうじゃないか!」


通りかかった顔見知りのディーラーたちは
「え〜、これ買うの? やめた方がいいんじゃない」と呆れ顔。

たしかに 連れて帰ったら
オットは卒倒するかもしれない…。
でも もう 会えないかもしれない。


買付けにおける 私の鉄則。
「迷ったら買え!」
そうだ。買わずに後悔するより
買って後悔するほうがいい。


かくして ソファは 
わが家にやってきた。


…う!
く、くさい。

雨にぬれたまま
ひと月にわたる船旅を終えたクッションは
その異臭をより強烈なものにしていた。

さらに。
コンテナの中で謎のオイルをぶっかけられたらしく
ただでさえ迫力のあった風情は、よりすさまじさを増していた。


「…座りたくない。いや 座る日がくるとも思えない」
正直、後悔した。

「どうぞ 座って」「いえいえ キミから」
夫婦でさんざん譲り合ったあと、
あ。そうだ、ネコのベッドにしようと思いついた。

しかし。
好奇心旺盛なレヲ(ネコ)ですら
その異様な物体に近寄ろうとはしなかった。


まずクッションをざぶざぶ洗って、
くる日も くる日も 天日干し。
めくれた革を専用接着剤で丁寧に補修したあと
ワックスやクリームを
なんども なんども 塗りこんだ。
「生き返れ!」と念じながら。


いつしか異臭は消えてなくなり
おんぼろソファは すっかり
レヲと私のお気に入りの場所になった。


愛を注いであげると
ものは いろんなことを語りだす。
いろんな ものがたり が 生まれる。

たまにツメ研ぎ代わりにされて
私を絶叫させるけど
また直せばいいやと気楽に考えることにしている。

このキズも あのキズも 
愛された故の勲章、そう ものがたりのひとつ。

そんなことを教えてくれたソファだった。

Posted by Kica manager

| Posted by kica2001 | favorite | comments(2) | trackbacks(0) |




gaff (2008/01/13 3:22 AM)
懐かしい!このコと初対面の時、私も側にいました…。
何回も見に行って、やっぱり諦める…記念に写真を撮っておこう!
って言って、でも結局連れて帰ったんだよね。

おうちにお邪魔した時、しっくりハマって
居心地の良さそうなこのソファを見て安心しました。
やっぱり可愛い!同居する運命だったんだよ!

遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いします♪


Kica manager (2008/01/13 8:28 AM)
gaffちゃん(…なんか変な感じだね。いつもと違う呼び方)!
ありがとう* 元気そうで何より!!
このソファのときも こないだいのイギリスも
いつも買付けではホントお世話になってます♪

日本は今日から気温がさがり、外に出るのも緊張するほど。でも、イギリスは比べものにならないほど寒いんだろうね。
gaffちゃんの写真からは、その凍りつきそうな空気まで伝わってくる〜。いつも感心しながらdiaryを読ませてもらってます*

こちらこそ 今年もどうぞよろしくね。
またイギリス,行くよ〜!!











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